DXとは、企業のありかたそのもの、組織のありかたそのものを問う

「DXの思考法 日本経済復活への最強戦略」(文藝春秋)を読みました。
DXとはただのデジタル技術の適用ではなく、人、企業、社会の在り方であることが分かります。
会社でDXに取り組めとよく言われますが、一体それってどんなことなのかを知れる本です。

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物事を本質的な課題にさかのぼって、その方向で抽象化する

「要約」
数ある顧客の注文をいったん聞き取ったうえで、それを顧客ごとにカスタマイズはせず、その要望を抽象化する。
すると、ほとんどの顧客の要望をこなすための必要な対応が見える。
単純な仕掛けを作ると、目の前に無いものも含めて何でもできてしまうかもしれない。
デジタル化の歴史は、人類の課題を解く共通の解法を研究し、創造すること。

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「感想」
私はハードウェア(機械)設計者でした。
この本でも書かれていますが、ハードウェアだと具体に引っ張られます。
確かに、ある個別の具体的な課題に対して、それぞれハードウェアは存在している、と思います。

一方で、ソフトウェア(デジタル)というのは、ある意味何でもできてしまう。
どんな課題も解けてしまう構成になっていると思います。
よくお客さんから、「こんな機能をできないか、表示をできないか」と言われ、ソフトウェア設計者は、「できるから断れない」と言っていたのを思い出しました。

既にあるものは他社に頼り、無いものを探してその実現に資源を集中

「要約」
①世界の主要プレーヤのサービスやテクノロジーの現状を図に書く
②自社のビジネスに関係がありそうなプロダクト、サービスを書きいれる
③自社のシステムの構成を書きいれる
④自社の目指す価値を実現するために必要なもの、なければそれを特定する
⑤その中で最も可能性がありそうなものを、自社開発する

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「感想」
よくやってしまうのは、いきなり③の自社システムの構成を書いてしまうことかなと。
そうすると、世の中のレベルとの対比ができず、自社システムの何が良いのか、新しいのかが見えなくなります。
結果、すべての要素を自社で作りましょうとなり、たいして価値のないものに資源を使ってしまう、と。
そこにおいて、私の情報分析の業務では、世の中のレベルを見渡して整理して示すことが、役割だと思っています。

データを入手/保存/加工し、価値に対応させる設計 = アーキテクチャ

「要約」
膨大なデータを価値に結びつけることが、ソサイエティ5.0の核心。
ビジネス、産業、社会を複雑なシステムと捉え、それに対して人間がソフトウェアのロジックで立ち向かうこと。
アーキテクチャは、静的な構造ではなく、ソフトウェアを動かしたときにそれが実行する内容を表現する。
化学プラントもスマートシティも、データを使って駆動する複雑なシステムと捉える。
それは、データを価値に結びつけるという役割を果たすためにある。

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「感想」
アーキテクチャは直訳すれば「構造」です。
それを何を軸に描くかというと、データの流れ、何を実行するか、どんな価値に結びつくか、となります。
それにより、こんな要素が必要/不要が見えて、世の中にない新しい要素が分かって、それを自社で取り組むという決定ができるかなと。
対象業界に詳しくなくても、そしてどんなに複雑であっても、この表現であれば誰でも理解できて議論に使えると思いました。

(まとめ)DXとは抽象的であり、社会のとらえ方そのもの

本書を知ったのは、解説の冨山和彦さんが「両利きの経営」も解説されていたことです。
また、世の中的にDX、DXとさんざん言われており、そろそろ勉強しようかというときに、解説が冨山和彦さんがということで、購入しました。

正直、この本は難しいです。
内容がとことん抽象的です。DX自体が抽象的だからしょうがないかもしれませんが。
感覚として、DXによって、世の中のとらえ方や表し方が、これまでとは全く変わったものになることは分かりました

また、いくつかネットフリックスのビジネスなど、具体的に書かれているものがあります。
そこにおいて、どこがDXの要素なのかというはよく分かります。

DXの具体例や、その抽象性やとらえ方を知るには良い本かと思います。

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