「アライアンス戦略論」(NTT出版)を読みました。
企業同士のアライアンスについて、そのパターン、目的、実行上の留意点など、実践に向けた内容を体系的にまとめています。アライアンスを全く知らない方から、専門に扱う方にとってまで、有益な本だと思います。
アライアンス・マトリックス:どの企業とどんな経営資源を交換するか
「要約」
機能分担:設計する企業と、生産受託企業
顧客統合:バリューチェーンでの上流下流企業
能力補完:顧客との共同開発
規模追求:共同の生産工場
・・・・・
「感想」
この図は、企業同士のアライアンスは何を目的にするのか、パターン分けされています。
経営資源は、開発能力、生産能力、顧客基盤などあり、それらを他社とどのように交換するのか、それによって、両社はどんな恩恵を受けるのか。
ニュースで、色んな企業が、提携したり共同開発したりしていますが、それはどこに当てはまるのか考えると、よく整理できると思います。
各アライアンスにおける、獲得した技術の活用自由度
「要約」
M&Aが相手企業の技術を最も自由に活用できる。
ライセンスは、そこで決められた範囲でのみの技術の活用となる。
・・・・・
「感想」
自社がある技術が欲しい時、M&Aまで必要なのか、ライセンスで良いのかなど、いろんなパターンを考えると思います。
そのとき、基準の一つとして、その技術をどこまで利用したいのか、があります。
自社の事業において、その根幹をなすような重要技術であれば、M&Aもありと思います。
反対に、ただ使えればよいというレベルであれば、ライセンスで必要な範囲でのみ使わせてもらう、となると思います。
パートナ間のシナジーの性質による、アライアンスの仕方
「要約」
モジュールシナジー:個々の企業が経営資源を管理し、その成果物を持ち寄って価値を創出
シーケンシャルシナジー:一方の企業が業務を完了して、そのあと他方が事業に生かす
レシプロカルシナジー:企業同士が密接に連携して、大幅にカスタマイズ
・・・・・
「感想」
シナジーをこのような類型でとらえるのも面白いですね。
モジュールシナジーのように、ある意味淡々と双方が互いの成果物を提出するだけなら、契約だけで良い気がしますね。
レシプロカルのように、互いの要望をすり合わせて作り上げるには、M&Aをしてその技術を独占するのが良いと思います。
(まとめ)アライアンスについて体系的に学べる参考書
IPランドスケープが活用できる場面の一つに、M&A&Aがあります。M&Aとアライアンスと言う意味です。
これについて、M&Aとアライアンスとは一体何か、それらはどう使い分けるのかを知りたくて、本書を読みました。
本書は、M&Aとアライアンス、ライセンスなど、企業と企業が関係を持って事業を行うための、取りうる手段と、その実行における留意点を網羅して記されています。
上記のようなパターン別の解説や、それを実行するための契約書の留意点など、かなり実践に向けた内容となっています。
経営戦略、事業戦略を担当する方にとって、外部企業との連携の仕方を知る参考書になると思います。
コメント