商品開発とは、制約のある中でどうやって良いものを作るかだ

入社し、開発部に配属されてすぐに、3次元CADの研修を受けました。
ツールの操作方法から入り、最後はお題となる商品を与えられて、実際に設計するといった内容でした。その後の設計業務における、考え方や姿勢を学べました。

3DCGデザイナーのイラスト
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無駄にアクチュエータを使うのではなく、簡単な機構から考える

お題として、稼働する機構を用いたある商品を設計することになりました。
その際、「稼働する機構」ということから、モータを搭載すると考えました。
そのことを講師に伝えると、そのような部品は不要であり、バネを仕込めばよい、と指摘を受けました。

普通に考えれば、なるべく部品をシンプルに考えますが、入社間もない頃は、そんなことも分かっていませんでした。
実際に、これくらいの機能ならこんな部品で大丈夫、と考えられるのは、ある程度経験が必要となります。
それ以降、実業務で設計するときには、従来機種ではどうしていたのか、現物を見てその設計思想を確認することから始めるようになりました。

対象商品の大枠を固めてから、詳細部分に取り掛かる

研修の中で、一つの商品を設計するのに、数人のチームを組んで、分担して行いました。
そのとき私は、ある部分の詳細な形状の設計から開始しました。
そのことを講師に説明すると、順番がおかしいと、指摘されました。

まずは、大枠を決めなさいと言われました。構想設計とも言うと思います。
全体の構想が固められたのちに、各人で部分ごとに分担をすると。

全体を構想してから、部分の詳細検討に取り掛かるというのは、設計業務だけでなく、すべての思考にあてはまると思います。

モデルをくるくる回して見る暇があったら、頭を使って考えろ

CADは3次元でしたので、マウス操作により、ディスプレイ内のモデルがくるくる回ります。
それにより、設計途中のモデルを、色んなアングルから見れるという機能があります。
これが、いかにも設計している感があり、それだけで楽しくて時間が過ぎていました。
また、見やすいように、それぞれの部品の色をこだわって設定することもしていました。

CADというツールは大変便利ですが、そのツールだけで設計はできません。
あくまで人間の脳みそで考えて、それを見える形にするだけのものです。
設計ツールが進歩しても、中身が思うように進歩しないのは、それを使いこなす人間に原因があります。

時間があったら、誰でもなんぼでも良いものが考えらえる

研修の最終日に、設計した商品を、職場の上司にプレゼンする場ありました。
自分でも納得できない、おかしなところばかりの商品となりました。

このとき上司からいただいた言葉として、「時間があったらなんぼでも良いもんが考えらえる。制約のある中でどうやってベストなものを生むか、それが仕事だ」が印象的でした。

研修という短い期間だったからだ、というのは言い訳なのだと。
実業務のほうが、もっと時間はありません。
その中で、品質もコストを満たす設計がどれほど難しいか、研修後に実感することになります。

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