このIPランドスケープのゴールは何か。そこから特定するフレームワークを考案

論文『IPランドスケープ2.0』(知財ランドスケープ 山内さん著)を読みました。
山内さんのIPランドスケープ関係の論文の第2版となります。
IPランドスケープを実行するための、ゴール設定から含めたフレームワークを示されています。
ゴール設定が間違うと以降すべてが無意味となるため、大変参考になりました。
(山内さんのその他論文の記事はこちら 第1版 第3版

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論点のゴール設定は難しく、なぜこの論点なのかという質問に窮する

「要約」
論点のゴールを担当者自ら設定することは難題となる。
納得感のあるゴールを、合理的に特定しつつ戦略提言に導くフレームワークが求められる。
①業界潮流を把握し、その潮流に即して論点のゴールを設定
②自社ポジション分析を経たうえで、論点に応じた解決策を深堀分析

・・・・・
「感想」
IPランドスケープをする上で、企画部門と一緒に議論しながら進めることがあります。
その場合でも、企画部門の方が、自社の課題など論点を整理できているとは限りません。
そうすると、IPランドスケープをしていく中で、まずその論点のゴールを設定しなければいけません。
そんなときに、このフレームは有効だと思います。

周知で新しさがない潮流では、経営層の琴線に触れられない

「要約」
例えば、自動車業界であればCASEと言うだけでは足りない。
その中での自動運転保険開発の潮流などまで必要。
新潮流把握の4つのアプローチ
①他社被引用数への着目
②他社特徴分野への着目

③直近出願への着目
④ユニーク出願への着目

・・・・・
「感想」
経営層に、これが新しい潮流です、と提示するとき、どんな粒度感なら興味を持ってもらえるのか、いつも悩むところです。
そのためには、まず新聞、雑誌など、世の中で流れている各種情報は把握しておかなければなりません。
その上で、IPランドスケープとして、特に特許情報だからこそ分かったという潮流が必要です。
その意味で上記4つは、特許情報を活用する観点として参考にできると思います。

自社ポジション分析は、定量面および引用被引用の定性面から判断

「要約」
自社ポジション分析の4つのアプローチ
①ランドスケープマップによる分析
②対象分野の関連出願ランキング分析
③注目出願などの引用被引用分析
④対象分野などのプレーヤ間の簡易レイティング分析

・・・・・
「感想」
上記4つを分析することで、自社特許と他社特許を、定量的、定性的に比較するということですね。
それによって、自社が他社と比べてどの技術では優位なのか、脅威だとしたら相手はどの企業なのかがわかると。
4つがこの順番でと言うわけではなく、このなかで仮説検証でつながることもあれば、ある分析からは何も得られない、ということもあると思います。

(まとめ)ありがちな問題に対しての有効なフレームワーク

本論文は、山内さんのIPランドスケープ関係の論文の第2版となります。
位置づけとしては、IPランドスケープは何をゴールとするかが重要となるところ、そのゴールの設定が難しいのでそこからのフレームワークを考えられた、と言うものです。
それはすごく感じます。
なので、この論文で示していることは、すっと納得感を持って読むことができました。

IPランドスケープは、活動であり、実行手順をかっちりと決めることはできません。
実際のケースごとに、適宜適切だと考えるものに取り組むしかありません。

このフレームワークも、一つの選択肢としてあると、業務でとても参考にできると思います。

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