経営/事業部門と知財部門との距離を縮めるのがIPランドスケープ

「経営・事業企画者のための「IPランドスケープ」入門」(翔泳社)を読みました。
企業がIPランドスケープを導入、実践するには、知財部門だけが頑張っても困難です。
その実現のために、経営、事業企画の方に知っていただきたいことが、整理されています。
知財部門の私が読んでも、共感するところ、わきまえないといけない箇所がたくさんありました。

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ダイソン:知財部門はコンサルのような業務はしていない

「要約」
そもそも知財部門の責任者は、経営会議のボードメンバであり、新規事業の検討メンバに入っている。
コンサルという言葉は、社外にいる人が助けるものであり、社外にいるがごとき距離がある。
ギャップの正体は、事業部や経営陣と、知財部門との間に存在する距離感である。

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「感想」
私の頭では、上記のようなコンサルになるというのが一つのイメージとしてありました。
事業部それぞれに対して、知財戦略や出願についていろんなアドバイスをするというものです。
ですが、それではダメだと。社内に入り込んでいないと。
おそらく、現状がそういった助言すらできていないから、コンサルを目指すところとしてイメージしてしまったんだと思います。

分析結果が経営に生かされなくても、案ずるに足らず

「要約」
知財部がアライアンス候補などを分析し、事業責任者や経営陣に提案したが、結果として受け入れてもらえず、ストレスを感じるという話を聞く。
これは案ずるに足らずと考える。
なぜなら、彼らは常に複数の戦略オプションから選択することが本来の仕事である。
戦略オプションが増えること自体が、彼らにとって価値がある。

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「感想」
まさに私も、そういったストレスは感じます。
ここで重要なのは「結果として受け入れられず」だと思います。
結果以前に、考える土壌にすらあげてもらえない、や、提示したいけど何の意見も言ってくれない、ではダメかなと。
内容を理解してもらい、理由があってその案は採用しなかった、であれば価値ある分析であったと思います。

自社の強みがなぜ強みなのか、他社比較で明らかにし、さらに高める

「要約」
自社の弱いところを強くするというアプローチをしないこと。
弱い部分は土台がしっかりしていないから、強化しようとしても中途半端になって凡庸なアドバイスになりがち。
それよりも、自分たちの強みをさらに強くする。
なぜこの事業は競争力があるのか、他社と対比して分析して明らかにして、さらに高めのが基本。

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「感想」
弱いところに目が行きがちですが、そうではないと。
そこを強くしたところで、他社に勝てるところまで持っていくには大変ですしね。

あと、強いところがなぜ強いのかを明らかにするのが、ポイントだと思います。
それが分かって初めて、高めるための打ち手や、強化する具体的な対象が特定できるのだと思います。

(まとめ)自分のしていることと照らし合わせて、いろいろ共感

本書を購入したのは、業務でIPランドスケープを実施しており、関連書籍が出ると必ず読んでいるからです。著者の杉光先生は、IPランドスケープを学術面から解説をしている有名な先生です。

IPランドスケープとはどんな役割を担うのか、であったり、知財部門がIPランドスケープを実行する上で必要となる組織の在り方、人材スキルなど、広く述べられています。

今自分がしていることと照らし合わせて、共感するところや、わきまえないといけないところなど、ありました。
経営、事業企画者の方以外でも、IPランドスケープをこれから広めていきたい考える知財部門の方にとっても、参考になる本です。

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