プラットフォームの主導権を握るための知財マネジメント。iPhoneから学ぶ。

日本知財学会理事 妹尾さんの論文 『「パイプライン」から「プラットフォーム」へ ─「N × 1 × N」の構造が導く競争原理の変容─』 を読みました。
アップルのスマホを例として、プラットフォーマーはどのように知財を使ってビジネスを実現しているのか、よく分かりました。
ビジネス着想の時点で知財活用を想定したからこそ、実現できるスキームです。

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プラットフォーム型ビジネスはN:1:Nの構造を持つ

「要約」
プラットフォーム型ビジネスは、多くの人が参加し、互いの相互作用を起こす場と機会を提供する。
作り手の側のN人が商品を提供し、買い手のN人が調達する場であれば、彼らが交流し、マッチングさせる。
プラットフォームが1となる。
参加者の増加に伴い、プラットフォーム自体の価値が高まる(ネットワーク外部性)。

スマホは、アプリ開発者N とユーザーNを持つプラットフォーム

「要約」
・ガラケー
事業者がユーザの求めと関係なしに多機能化
・スマホ
使用者が、使いたい機能のアプリをダウンロードでして付与。
アップルは、サードパーティーに開発キットを格安で提供し、積極的にアプリ開発を促す。
スマホはプラットフォーム1として機能。
商品形態、コンセプトが全く違う。

プラットフォームでイノベーションを仕掛ける

「要約」
基本
・新技術をすべて自社で作ろうとしない。脱自前主義
・自社の技術を自社だけで抱え込まない。脱抱え込み主義

・自社基幹領域(1)
他社の参入障壁を築く。知財権、ノウハウ秘匿を利用。(クローズ化)
・周囲領域(N)
技術を自前で開発したとしても、標準化やライセンスで外部公開。(オープン化)
・領域境界のインタフェース
独自開発した上で提供して標準化。その改版権(上記の開発キット)を押さえ、オープン領域をコントロール。(オープンクローズ戦略)

Nは競争領域となり、コモディティ化、品質向上。
N:1:N全体としては価格低下して新市場形成し、一方で、基幹領域は自社で抑えるから価格は維持できる。

(感想)事業企画の段階で、知財の活用を取り入れることで実現

知財マネジメントの観点でこれを実現しようと思うと、基幹領域は知財またはノウハウ化し、そして周知とのインタフェースは知財を押さたうえでオープンにしないといけないんですね。 

何も考えないと、すべてを知財で独占しそうです。すると、市場が拡大しなくなってしまうと。

そのためには、ビジネスとして全体のプラットフォームを最初に構想したうえで、知財をどう扱えば、自社の利益を確保しつつ市場拡大できるか、という発想が必要となります。

ビジネスを考えることと並行して、知財を活用する姿まで考えないといけません。
事業企画部と知財部が一緒にビジネスを考えないと、実現できないスキームだと思います。


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