知財戦略のオープン&クローズ。自社はどこに位置取るか、無数の中から設定する。

書籍『インビジブル・エッジ』(文藝春秋)では、知財戦略が体系的に整理され3パターンとして紹介されています。
今回は3つ目の単純化戦略(アーキテクチャによって複雑化に対処する戦略)について紹介します。
(1つ目のコントロール戦略についてはこちら、2つ目のコラボレーション戦略についてはこちらをご覧ください。)

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知財戦略③単純化戦略 の要点

「要約」
(1)戦略をアーキテクチャに結びつける
外部との協力者、コアテクノロジーへの集中、独立したインターネットハブをめざす。

(2)複雑さを排除する
分かりやすく使いやすいインタフェースに最新の注意を払う。
外部のアプリ開発者が参加しやすい環境を整える。

(3)オープンアーキテクチャを支持する
外部で作成したコンテンツを配布するチャネルを提供する。

(4)コアの部分は所有する
ビジネスモデルの中枢部は権利で保護する。
プラットフォームすなわち土台は所有権を確保する。

(5)中心に移動する
拡大する市場の関係性の中で、自社を中心に位置づける。
ユーザ同士のやり取りのコントロールやアプリ開発はしない。
プラットフォームを提供し、人と人、技術と技術を結ぶ接点となる。

(6)標準争いで後れを取らない
自社技術が標準に採用されるかどうかは死活問題。
業界共通のAPIをつくれば多くの外部のアプリ開発を取り込める。

(7)破壊的な攻撃に注意する
名前も聞いたことのない小さなベンチャーが日々新しい技術の開発に没頭していることを、忘れてはならない。

・・・・・
「感想」
上記について、さらりと書いていますがすごく難しいことだと思います。
まず(5)の中心とはどこなのか。
これから新しい事業やビジネスを立ち上げようとしている中で、何がハブ(中心)になるのか、そこに自社がなれるのかを見極めなければいけません。

そして、(4)の通り、その中心において自社の権利を確実に保護しなければいけません。
さらに、(2)の通り、中心ではない部分はオープンに他社に使ってもらうと。

もし、狙った場所が中心ではなかったり、逆に、本当は中心であるところをオープンにしてしまったり、あり得ます。
そうなると、想定していた戦略がまったく機能しません。

最初に、事業全体の機能要素や関係プレーヤの位置づけ、自社の強みなどを間違いなく描ききり、基本的な権利を取得するという手順が必要です。

(まとめ)オープンとクローズのどこに位置取るのか

この戦略③単純化戦略は、①コントロール戦略と②コラボレーション戦略の中間に位置します。
中間と言ってもいろんなレベルがあります。

どんなレベルにすればよいかは、自社の狙う事業・ビジネスや、関係プレーヤと自社の位置によって変わります。
実際、無数のパターンがあると思います。

したがって、事業を立ち上げる際に、企画部門と知財部門、事業部門と同じイメージを描いて、戦略を練る必要があります。
各部門を引っ張っていけるかが、知財部門の力の見せ所だと思います。

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