知財戦略によるコラボレーション。参加企業が手の内を明かせる関係構築を。

書籍『インビジブル・エッジ』(文藝春秋)では、知財戦略が体系的に整理され3パターンとして紹介されています。
前回のブログでは、1つ目のコントロール戦略について紹介しました。
今回は2つ目のコラボレーション戦略について紹介します。

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知財戦略②コラボレーション戦略の要点

「要約」

(1)敵と手を結ぶ
知財をめぐる停戦協定のために、企業同士は提携する。

(2)知財を活用してパートナを呼び込む
自社のイノベーションを活かしきれない場合や、市場開拓に行き詰まりを感じている場合、特許のライセンシングで利益を上げる。
若い企業に技術やリソースを提供する一方、自社開発に役立つ知識を吸収。

(3)イノベーション・ネットワークを形成する
企業同士の協力体制が複雑な場合、リーダ格の企業が協力を支援するネットワークを構築する。
トヨタ系列のネットワークはトヨタが支援。
トヨタの知財は系列会社にオープンにする。

(4)ユーザによるイノベーションを促進する
大量のコンテンツをユーザが無料で提供する。
それが可能なプラットフォームを構築する。

(5)信頼関係を築く
プラットフォームで不具合が生じた場合、誠意をもって対応する。

(6)共同出資を歓迎する
知財の効果的な利益配分を行うとともに、共同出資を促す。
ベンチャーキャピタルによる出資。

(7)知財プールを構築する
オープンソース化することでコードを共有し、新興企業が巨大企業に対抗。

・・・・・
「感想」
(2)は、自社の休眠特許を活かすことに似ていますね。
特許をライセンスすることで収益化できると。
さらには、そこから生まれた技術を取り込むことで、自社の事業に活かすと。
その場合、技術を取り込めるように契約が重要になります。

(3)のトヨタは、系列内では特許をオープンにしているとのこと。
さらには、トヨタは、水素やハイブリッド関係の特許は、系列に限らずオープンにしていますね。

(4)は例えばLinuxなどのオープンOSです。
ソースコードを公開し、いろんな開発者が改良してそれをさらに公開すると。

(まとめ)互いにオープンにする信頼関係の構築が大事

昨今のコトビジネスなど、自社単独では技術的・リソース的に不可能な場合があり、そのとき他社の資産が必要になります。
その他社と提携をうまく実現するのに、知財を活用したコラボレーション戦略が有用というわけです。

ただ、関係企業内で自社が培った技術をオープンにするわけなので、抵抗を持つこともあります。
そこで信頼関係だったり、トヨタのような大企業が全体を支援するなどの取り組みが大事だと思います。

次回は、最後の差別化戦略について紹介します。

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