企業理念を届ける媒体が知財であり、届ける道筋が知財マネジメント

経営に効く7つの知財力(発明協会)を読みました。
企業知財部がどう経営と関わるのか、そのためにどんな種類の知財マネジメントが必要になるのかをまとめられています。
自社の知財部の体制図を見て、知財マネジメントは適しているのか確認してみると良いです。

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知財マネジメントは、経営課題を解決するラインに乗る

「要約」
企業活動をしていれば、次から次へと課題が生まれる。
知財マネジメントも、経営課題を解決するラインに乗ることで、企業に必要な活動というポジションを得る。
知財の課題を起点にした知財マネジメントでは、経営に貢献できない。
知財で対応できる課題を探すのは、知財担当者であり、経営者ではない。

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「感想」
知財部員は、知財のことだけを考えてはいけない、と。
その企業の経営上の課題を把握し、それらを知財でどのように解決できるのかを、探さないといけません。
考える視点が、だいぶ高い位置になりますね。
会社単位で、自社と競合とを比べて考えなければいけません。

知財マネジメントの7つの効果

「要約」
①見える化:自社がどんな技術を持っているか、客観的に把握する。特許出願で先行技術との対比を通じて、深く考える。
②財産化:個人の能力でなく、会社の財産にする。特許権、営業秘密
③創意工夫による活性化:発明者にインセンティブ
④競合社間での競争力:ビジネスモデルに合わせて権利化
⑤取引社間での主導権:材料メーカでなく装置メーカに特許を取られると、他社の材料メーカとの競争になる
⑥自社の強みを外部に伝える:特許という新しさをPRし注目を惹きつける。オリジナリティがあることを特許で証明。事業と結びついた特許戦略が必要
⑦協力関係を築く:オープンクローズ戦略

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「感想」
ひとえに知財部の仕事と言っても、これだけ多岐に渡るんだなと。
自社内部の話や、さらには、競合企業、顧客へ向けてなど、いろんな観点で考える必要がありますね。
また、情報分析、権利化、権利活用、戦略など、専門知識が広範に求められます。

そして、それらは連続しているため、各個人がどれか一つだけに詳しくてもだめで、すべてのことを分かっている必要があります。
人材の育て方も、ジョブローテーションなど考えないと、と思います。

企業理念を届ける道筋を付けることが、知財マネジメント

「要約」
知財の力を活かして、企業の経営にどのように貢献するのか。
商品サービスに込められた企業の理念、思いを、顧客のもとにしっかりと届けること。
ある思いから新しいビジネスモデルを作り出した元祖であること、それが顧客を引き寄せる。
元祖でありオリジナリティがあり知財をもつ者である。
企業理念を届ける媒体が知財であり、届ける道筋を付けることが知財マネジメント。

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「感想」
ややもすると、知財権という独占排他権に目が行きがちです。どうやって競合に勝って儲けよう、かと。
ただ、それの根底にあるのは、自社の企業理念を実現することなんですね。
企業理念の実現のために、何が課題になっていて、それを知財でどう解消するのか、になると。
その役割を担うことができれば、知財部は間違いなく経営課題に対応していると言えますね。

(まとめ)企業知財部に必要な組織体制がわかる

本書は、知財戦略を担当する部署に異動になってすぐに読みました。
よく三位一体と言って、知財、経営、技術が一体となるということは聞きますが、いったいそれは何なのかと思って読みました。

知財と経営との関係性がよく分かりました。
またそれを実現するために、知財部の役割や活動はどのようなものがあるのか、がわかりました。
その役割に沿って知財部の中をグループ分けすれば、それがすなわち、知財部の組織体制図になると思います。

知財部が経営に対してどう貢献できるのか、なぜ今この業務をしているのか、理解できる本だと思います。

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