演繹法は、前提に従うだけではない。前提を疑えば新しい発想が生まれる。

『問題解決力を高める「推論」の技術』(フォレスト出版)では、推論力として、帰納法、演繹法、アブダクションの思考法を説明しています。
昨日の記事では帰納法を紹介しました。今回は演繹法について紹介します。

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演繹法:前提となるルールに物事を当てはめて結論を出す推論法

「要約」
・前提となるルール:身長が伸びれば⇒体重が増える
・当てはめる物事:来年は身長が伸びるはずだ。
・導かれる結論:よって来年は体重も⇒増えるはずだ。

演繹法の論理が成立しているかチェックするには、「前提となるルール」に「当てはめる物事」が包含されるかどうか。
「身長が伸びる」という概念に、「来年は身長が伸びる」が含まれる。よって成立している

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「感想」
これは分かりやすいですね。
数学などの公式を使うときや、あるいは、弁理士の論文試験でも同様な論法になると思います。
包含されるかどうかというチェック方法も、こうやって考えると分かりやすいです。

ビジネスの環境変化を予測する局面で活用できる

「要約」
・前提となるルール:背景にある力学
・当てはめる物事:今の局面
・導かれる結論:背景にある力学に今の局面を当てはめた、今後の予測

たとえばプロダクトライフサイクル理論を用いると、
前提となるルール:市場導入期には、消費者や流通事業者の関心を高めれば⇒商品の普及が加速する
当てはめる物事:現在は市場導入期である
導かれる結論:消費者や流通事業者の関心を高めるプロモーションが必要

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「感想」
変化を予測すると聞くと、すごいノウハウがあるように見ます。
でも実は、演繹法によればいたって単純ですね。
前提となるルールとして、ビジネスにおける鉄則みたいなものがあります。
それに乗っかれば説得力のある論法となり、予測が示せるというわけです。
なので、ビジネスで鉄則とされているものはすべて知っておいて、いつでも引き出せるようにしておく必要がありますね。

論理的に妥当かではなく、これまでの前提を覆した発想が求められる

「要約」
そもそも前提は正しいのか、十分に掘り下げられているのか、と疑う。
前提を捉え直す思考法:ラテラルシンキング
エレベータの待ち時間が長いというクレームに悩まされている場合、
・前提となるルール:エレベータが各階で最適化されていないと、待ち時間が長い
・当てはめる物事:待ち時間を最適化するAIを導入すれば、最適化できる
・導かれる結論: AIを導入すれば、待ち時間を減らせる

しかしこれでは、設備投資が大きくなる。
エレベータを使う側から見た視点で考えると、

・前提となるルール:エレベータがの待ち時間が無意味に感じると、クレームが増える
・当てはめる物事:鏡を置けば無意味な時間は、有意義な時間に変えられる
・導かれる結論: エレベータの前に鏡を置けば、クレームは減らせる

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「感想」
これは面白いですね。何を前提とするか。
目の前の事象を解決するために、どの視点でその問題を見るか。
上記だと、運営者と利用者の視点の違いですね。それによって、解決策がすごく簡単に済みます。
同じ演繹法であっても、前提によって結論が全く違います。
ある意味、前提が最も大事だと思いました。

(まとめ)帰納法と演繹法を合わせて、自分だけの発想を

昨日の帰納法につづき、演繹法について紹介しました。
演繹法についても、これまで私が知っていたのとはちがう側面が分かって良かったです。

特に前提となるルールについて、これは法則とも呼べるものです。
すると、昨日の帰納法で導いた法則を適用できることになります。
その法則は、自分だけの法則をストックしましょうというものでした。
したがって、その自分だけの法則を前提となるルールとして演繹法を適用すれば、さらに自分だけの結論、すなわち、発想が得られるのだと思います。

次回は、3つ目の推論法であるアブダクションについて紹介します。

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