AI技術の特許出願状況。日本企業はどこで勝つのか。

特許庁の報告書『AI関連発明の出願状況調査』2020年7月 を読みました。
ひとえにAI技術といっても、学習モデルというコアの部分か、実際の商品に用いる部分か、多岐に渡ります。
どんな学習モデルがどこに使われ、どんな企業がどこに適用しているか、傾向がよく分かりました。

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第二次/第三次AIブームのAI技術の違いが、出願件数に顕著に現る

「要約」
第二次AIブームは1990年代前半に迎え、その後20年近くAI関連発明の出願は低調。
2014年以降に第三次AIブームで再び、出願件数は増加中。

第二次で流行したのは、知識ベースモデル、エキスパートシステムなど。
出願件数で見ても、G06N5/(知識ベース)、G06N7/(ファジィ論理等)は、90年代にピークを迎え、それ以降現在も低調なまま。

一方、現在の第三次AIブームに合致するように、G06N3/02-3/10(ニューラルネット)、G06N20/(機械学習)の出願は増加中。

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「感想」
ファジイって懐かしいですね。
洗濯機などでファジイ機能があると謳っていたCMがあった気がします。

世の中のブームと特許出願件数の増減が、きれいに一致するところが面白いです。

各出願人が自社事業に関係が深い技術分野にAIを適用

「要約」
AI適用発明:画像処理、音声処理、自然言語処理、機器制御・ロボティクス、診断・検知・予測・最適化システム等の各種技術に、AIコア発明を適用したことに特徴を有する発明

AI上位出願人における、AI関連発明の構成比率。
AIコア    :クアルコム(80%)、IBM(45%)
車両、交通制御:トヨタ(45%)、デンソー(25%)
医学診断   :富士フィルム(60%)
ロボティクス :ファナック(65%)

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「感想」
ここまで各企業の特徴が明確に現れるんですね。
特に、クアルコムのAIコアに注ぐ力の大きさが目立ちます。

ニューラルネットワーク関連の出願は、中国が米国を上回る

「要約」
G06N3/02-3/10(ニューラルネット関連)が付与されている各国出願件数の推移
(2012年⇒2017年)
JP:27⇒436
US:217⇒2265
EP:36⇒367
CN:230⇒4902
KR:29⇒845

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「感想」
このデータは2017年ですが、その時点で中国はアメリカの倍くらいになっていたんですね。
中国の勢いがすさまじいです。
一方で、日本は2012年時点ですでに、韓国にもわずかですが負けていたと。
なかなか悲しいものがありますね。

ニューラルネットが多いことが絶対ではないので、各企業がどれだけニッチ分野でもよいからAIで技術を高められるかが大事だと思います。

(まとめ) AI技術をどこに何のために使い、どんな価値を生むのか

昨今、どの企業も、どんな事業(モノづくりでもサービスでも)でも、AI技術を用いているのではと思います。
ひとえにAI技術と言っても、クアルコムのようにAIのコア技術もあれば、ファナックのようなロボティクスへの適用もあると。
一方で、AI自体はモノでもサービスでもなく、お金は生みません。
AI技術をどこに何のために使うのか、それがお客さんにどんな価値を生むのか、そこまで突き詰めて事業に本当にAIを活用できる状態だと思います。
色んな国、業種の企業が一斉にAIに取り組んでいる中で強みを生むには、ニッチで良いからダントツな価値を生むというのが勝てる方法だと思います。

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