企業の知財活用の浸透のため、まずは伝え方から変えていこう

「伝え方を変えれば9割伝わる! 知財 伝え方改革の教科書」(発明推進協会)を読みました。
知財部門が、知財を知らない技術者に対して、どのように伝えれば理解をしてもらえるのか、そのポイントがまとめられています。
専門知識があるから説明できる、というのは間違いであり、伝え方の改革が必要です。

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開発者の悩みを解決することに、知財の知識が役に立つ

「要約」
知財は大切だ、と声高に言っても、技術者には響かない。
そうはいっても、自分たちにとっては技術開発のほうが大事だ、と。
そうならないために、知財の知識を持っておくと、開発成果を世の中に送り出す可能性が高くなる、と伝える。
そうすると、技術者は自発的に知財部員へ協力し、開発技術を明細書に正しく表すことに貢献する。

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「感想」
技術者からすると、いきなり特許や明細書と言われても、その重要性はわからないと思います。
ノルマとして発明アイデアを出さないといけない、とさえ感じます。
そうではなく、自分たちの技術を正しく出願すれば、特許となって自社にメリットがある、ということを伝える必要があります。
もちろん知財部員の方も、開発技術を理解して、明細書に落とし込むことが必要です。

分かりやすい説明は、私たちの行動を変える力がある

「要約」
知識を持っているからと言って、それだけで相手に伝わる説明ができるとは限らない。
説明者は、「1」を教えるためには、「10」を知っておかなければダメ。
そうしないと、説明に奥行きが出ないし、質問に答えられない。

私たちが気づかないといけないことは、分かりやすい説明は、私たちの行動を変える力があるということ。
知財を活用するには、専門家が伝え方を改革すべき。

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「感想」
説明をするとき、説明内容に対して何倍も詳しく知っておかなければいけない、とよく聞きますね。
説明の前に想定質問を考えることがありますが、そこで自分の理解が浅いところに気付くことがあります。

行動を変えるとは、その通りですね。
行動を変えてほしいから、説明をしているのです。
そこをもっと真剣に考えないといけないですね。

相手にとっての難しさを知るには、相手を分析すること

「要約」
説明をするには、相手のレベルを見極めないといけない。
そのためには、集めた情報から相手を分析すること。
受講者の属性、背景、動機の視点で集めて分析する。
例えば、セミナの受講者リストについて、名前など個人情報を削除したものをもらう。
また、在籍期間や過去現在の所属、発明の実績などの情報。

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「感想」
そこまでの分析が必要なんですね。
私が以前にセミナを担当したときは、せいぜい所属部署くらいの確認でした。
背景や動機は、直接的にはわからないので、想像するところが大きいのでは、と思います。

(まとめ)知財部員が、開発者と接する場面で活用できる

本書を購入したのは、AIPE知財アナリストを受験する際に、推奨図書として挙げられていたためです。
知財アナリストのレポートを書くために、文章の表現などで参考になるかなと思い、購入しました。

読んだ結果、もっと多くの場面で活用できるものでした。
私は、知財のセミナー講師も担当しており、その受講者は技術者となります。
まさに、この本で取り上げている場面と同じでした。
技術者への説明において、どんな言葉を選べばよいのか、説明する順番や見せ方についても、参考になりました。
知財部門の方が、開発者と会議されたり、教育されたりする前に、読んでおくとよいと思います。

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