知財部の機能は、開発や経営の戦略を牽引すること

実践 知的財産戦略経営(日経BPコンサルティング)』を読みました。
知的財産や特許情報を研究された方の出版であり、学術的で難解な部分は多いです。
2006年出版ですが、今現在でも先進的な内容です。取り入れるべきと感じたところを紹介します。

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知的資産マネジメントの重要なプロセスは、研究開発戦略の策定

知的資産マネジメントの重要なプロセスは、
・競争優位と付加価値の増大につながる、知的財産のドメインや テーマを明確化し、
・その創出のために必要な経営資源の投入規模と内容を決定するための、研究開発戦略の策定である。
実際の研究開発戦略の策定には、こうした内部経営資源としての知的財産の分析にくわえ、外部環境因子(市場や技術のトレンド)の調査分析を行う。

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知的資産をマネジメントすることで、経営資源の投入規模を決め、研究開発戦略も策定すると。
知財部門が、大きな役割を期待されていることになります。
ただ、生まれた発明を権利化しますという、従来の知財部とは全く異なることがわかります。

知財部員が牽引して、研究開発を引っ張っていく意識

知的財産経営ができている企業は、知財部員が意識の上で、知的財産が牽引して研究開発を引っ張っていこうとしている。
現象としてそうなっているというわけではなく、開発の方向性を示す観点に知的財産が入るということは、少なくともそうした意識が必要。
知的財産がディフェンシブではなく、プロアクティブに動いてほしいということ。

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やはり、知的財産の視点を上流から組み込むには、当人の意識の面が重要だと。
こういう活動を始めると、往々にして、知財がなんでそんなことを言っているの?という目で見られます。
そんな周りの目を気にせず、私たちが引っ張るんだと、強く思い続けることが必要と思います。

決定のために広く情報を分析することは、研究者のミッションではない

研究者はものづくりに特化した強みを持っている。
ある決定を下すにあたって、幅広い情報を分析することは、研究者や開発担当者のミッションではない。
ヘッドクォーター的なオフィスにこの部分を俯瞰するツールや仕組みが必要。

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知財部員が情報分析を担い、研究者と一緒になって、新しい技術を生み出していく、というのが理想形だと思います。
さらには、情報分析機能が本社にある場合には、経営戦略そのものの策定に貢献できると。
いいですね。まさにこういった役割を担いたいです。

(感想)先進的で難解だが、取り入れるべきところは多い

この本を読んだきっかけは、知財情報分析の業務をする中で、よく、知財情報を経営戦略に活用するという言葉を聞いたことです。
それはいったいどんな姿なのかを学ぶため、この本を取りました。

正直、この本は学術的で難解なところが多いです。
知的財産や特許情報のことを研究した内容をまとめられています。
初版は2006年であり、日本が知的財産立国を宣言した後ですので、こういった専門の研究がされたのだと思います。

現在、この本のような経営をしている企業はまだまだ少ないと思います。
2006年時点でここまで考えらえれたことは先進的であったと思います。
現在の私の業務において取り入れるべきところは多いです。

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